忍者ブログ
AdminWriteComment
「槐夢堂」管理人・安芸明石の日常から趣味まで無節操に綴ろうとしたら大半がアニメ・漫画の話になっちゃう残念ブログ。更新頻度低下中
No.
2024/04/28 (Sun) 13:47:24

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.211
2009/08/19 (Wed) 21:24:16

今日の夕飯のうなぎが正直マズかったのが六割。
明日の車校での実習(というのか)が嫌なのが四割。

その胸から腹までぐるぐるしているモノを抱えたまま、
白石の「prayer」聴きながら小噺創作したらエラい事になりました。
なんかアレです、私は音楽の持つ力をもっとちゃんと知るべきです。

でですね。
その書いたブツは一応続き部分に格納しといたんですけど。
もし前の「焼け野原一秒前」(マインスイーパの話)が苦手だ感じたと人は、
読 ま な い 方 が い い で す 。
今回も精神面アレな女の子と、それをちょっと助けてくれる男の子の話なので。
別に前回の二人と同じでもいいんですけど、後々問題が起こりそうなので、別です。

「……やだな」

俺、明日引っ越すから。

お盆明けのくせにからっと乾いた風の吹く夕方、部活帰りの幼馴染が私の家を訪れて、そう言った。
斜向かいの家の、同い年の幼馴染。幼稚園も小学校も一緒で、中学なんか三年連続で同じクラスだった。お互い鬱陶しがって、たまに笑いながら一緒に帰ったり、しばらくずっと、この関係が続くのだと思っていた。
その一本道のような毎日に突然行き止まりの標識を立てたその言葉に、私の口から落ちたのが、「やだな」だった。

「俺がいなくなんのが?」
思わぬ本心を聞いた、とばかりにニヤッと笑みを向けられる。
いつもならしまった、と口をすべらせたのを後悔するところだけど、今日の私はバカみたいに素直だった。多分、夕陽のせいだ。特に悩みのない日だって、夕陽見てるとなんかセンチになるようなのが私だ。
「それもそうだけど、……いつか慣れるのが」
「慣れる?」
毒気を抜かれた顔で繰り返される。

「うん。……私アレなんだよね、なんか変なところで妙な適応力があってさ。
ホラ例えば、四月に新しいクラスになって、それって絶対すごい違和感あるでしょ?
それがね、二三日で、全部がずーっと今のままだった気がしてくるの」

「ずーっと……今のまま?」

さっきからコイツ、繰り返す事しかしてない。
完全に話の主導権を握ってしまった私は、それでも、そのまま続けざるをえなかった。
西を向いていた顔を東の方へ向き変えて、何も植えられていない花壇を見つめながら口を開く。

「ホントは何もかも変わってなかったんじゃないかって思っちゃうの。
一週間前も、一ヶ月前も、一年前も、このクラスはずっとこのメンバーでこのクラスとして私の周りにいた。って。
一ヶ月前なんて、当然去年の学年の去年のクラスにいたに決まってるのに。後さ」

ちらっと盗み見た顔がやけに真剣、というか神妙な感じだった。顔色見るなら「後さ」とか言う前にしとくんだった。

「あ、後はぁ……、な、夏休みに入った時とか夏休みが終わった時も一緒。
夏休みに入ってちょっとすれば、今までずーっとずーっと休みだったような気がするし、
休み明けも、数日だけ連休ボケが続くような続かないような感じがするだけで」

目を逸らして、顔も斜め下へ向けて、私は言い訳でもしているみたいに口ごもる。
「……だからね、」

「一週間足らずで、俺がいなかったのが当たり前になる……ってか?」

当然ながらバッチリ言い当てられて、私は今度こそ真下を向いた。適当につっかけてきた、履き潰されたビーチサンダルの素足が、所在なげに指を縮ませている。

「アホか。慣れてもらわなきゃ困るだろ。俺ごと忘れられるとかなら、……微妙だけど」
「それはない! 絶対ない。昔の事、忘れちゃうわけじゃないの。ただ」
勢いに任せてガバッとあげた顔は、失速していく言葉の語尾につられてもう一度下を向く。

「俺がいたのが、相当昔の事のような気がする?」

「……そんな感じかな」
「最初だけだろ。実際、俺がお前の横にいたのが思いっきり昔の出来事になる日は、いつか来るんだ」
「……それもやだ」
だだ漏れの本音に、私よりちょっとだけ高い位置に、溜め息まじりの苦笑が停滞していた。
コイツ、いつもこうだ。本気でも冗談でも、私がわがまま言うとすぐ、困ったみたいな顔でちょっと笑う。
「……どこ行くの」
「んー……遠いとこ」

 

次の月曜日、教室にアイツの姿はなかった。当然だ。
私は、ひとつ隣の列の、さらにみっつ前の席をずっと見つめていた。空っぽの席をずっと見つめていた。
火曜日もその机はぽつんとしていた。
水曜日も、木曜日も、金曜日も、また次の月曜日も。ずっと、ずっと、ずっとずっと。

――慣れてもらわなきゃ、困るよ
 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
[216]  [215]  [214]  [213]  [212]  [211]  [210]  [209]  [208]  [207]  [206
プロフィール
HN:
安芸 明石
HP:
自己紹介:
どこにでもいるただのオタク女。バイト書店員から正社員にランクアップ。オリジナル創作(小説)でサイトやってます。お暇があればどうぞ!

Twitterで超私的な漫画情報&アイマス話をつぶやき始めました↓
【漫画垢】
【アイマス垢】

※ 管理人は天性の飽き性・鞍替えの達人です。
カレンダー
03 2024/04 05
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新コメント
[11/21 copper]
[11/14 copper]
[11/06 copper]
リンク
ブログパーツ類
↓ブクログ マイ棚↓
バーコード
ブログ内検索
アーカイブ
P R
カウンター
忍者ブログ [PR]